＜事例 ～６～＞静岡県自動車整備商工組合　（静岡県自動車整備振興会）
令和４年３月２日～３日
＜地域における事業者間連携による自律的取組に係る支援＞活用事例
「損益分岐点が理解できる体験型会計研修会」

整商連では、国土交通省における支援事業である「地域における事業者間連携による自律的取組に係る支援」の活用事例を周知するために、支援を活用し令和4年3月2日(水)・3日(木)静岡商組東部支所にて開催された静岡商組主催の「損益分岐点が理解できる体験型会計研修会」を取材した。

昨今の人口減少下の市場縮小段階に於いて、利益を出し続けて会社を存続させて行く事は、今までのビジネスモデルの踏襲だけでは難しくなる可能性があり、今後、全国の中小規模事業者において、経営者の高齢化と後継者不在による廃業が増えることが予想されていることから、静岡商組では、以前より組合員から経営に関する勉強会の要望があり、経営基盤強化の支援策が求められていた。

また、国土交通省では持続可能な企業を増やすための支援に取り組んでおり、その一環である＜地域における事業者間連携による自律的取組に係る支援＞が令和４年1月に公募され、静岡商組において同年2月に申請し、本研修が採択された。(東部会場、中部会場、西部会場)

会計や経営戦略に強い経営者、後継者、フロントマン、従業員を育成することを目的とし、価格戦略を決定できる人材の育成と、さらには研修を通して醸成される各整備事業者間での連携の構築及び以下3点の修得を目指す。

1.経営者、後継者としての意思決定力の強化

2.貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の理解

3.自社の立ち位置の確認

戦略マネジメントゲーム(以下戦略ＭＧという)を通して、ゲームに組み込まれている期末処理等において会社経営と決算処理を疑似体験する。

研修参加者は戦略MGを通して経営成績を競い・楽しみながら、経営戦略思考と実務に役立つ会計思考を学ぶことができる体験型研修会となっている。

・戦略マネジメントゲームとは

戦略ＭＧは、参加者一人ひとりがゲーム形式で会社を起業し経営、経営活動のさまざまな意思決定を実践していく経営シュミレーションゲームである。

研修スケジュール

1日目＜事業活動と会計の繋がりを理解する＞

１期目：戦略ＭＧを同時進行でルール説明（同じ状態で始めて同じ状態で1期分を体験する）

現金出納帳、完成投入、期首処理、期末処理など

２期目：自分なりの経営を実践する

2日目＜損益分岐点を理解し利益を出す仕組みを考える＞

３期目：販売目標を立てて経営を実践する

４期目：経営計画の作成：利益計画を立て、黒字化を目指す

振り返り：利益率を上げる中身とは

取材を通して戦略ＭＧを体験したが、

1. ① 「材料購入」「設備投資」「採用」「広告」「商品販売」等の意思決定をする。
2. ② 決定した内容のチップを動かし、取引結果をシートへ記帳する。
3. ③ 制限時間が経過後に、期末処理・決算を行う。
4. ④ 次の期の期首処理をして、次の期に入る。

と①～④を繰り返すうちに経営の疑似体験をすることができた。

戦略ＭＧでは、利益を出し純資産を増やすことを目指したが、実際には期を重ねるごとに赤字が膨らみ、利益を出すことの難しさを痛感した。

戦略MGは、定期的に継続して受講することにより、更に成果が上がるとされており、この研修においても期を重ねた上級経験者は圧倒的に自己資本を積み上げ、結果を出していた。

期の間の振り返り・次期経営計画の講義の中で損益分岐点・粗利益(付加価値)について学ぶことができ大変有意義であった。

「今回の研修は、今後の実務に役に立つ内容か」の問いに、「非常にそう思う」が61％、「ややそう思う」が39％と二つで100％の回答であったことから、経営実務に役に立つ研修会であったといえる。

受講者の感想・意見等
・事業主だけでなく社員もやることで、理解しやすく意識が高まると思った。
・部品に在庫管理と作業工賃の設定に活かせそう。
・広い視野をもって業務を進めることが大切だと思った。
・また同じように戦略MG研修に参加したい。　等々
以上のように否定的な意見はなく、全て肯定的な感想・意見であった。

以　上